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俺たち、老後何する?

Staff

佐治川のほとりから植野記念美術館を臨む。
雲間隠れの夕陽は西の彼方に大きく傾き、やがて滑り落ちるように山の端に消えていく。
それが私のお気に入りの風景だ。

午後六時四十分。
川上の空は夕陽を抱きしめてやわらかな茜色のベールを広げている。
私はたまたま昼食で隣り合わせた同級生との会話を思い出していた。
還暦を過ぎて、同輩らの身の処し方に話は集中したのだった。

☑退職した。
☑給料をカットされながらも頑張っている。
☑第二の人生は新たな環境で、やりたいことを模索しているらしい…云々。

「正直、ちょっと糸が切れたよね」
そう吐露する私に友人が続いた。

「ほんま、俺も同じことを思ってたわ」と。

健康で長く働き続ければ、それは確かに幸せなことだけど。
けれども健康な内に楽しめることも、やっておかないとね。

「俺たち、何がしたいの?」
自問自答しつつ視線は中空を彷徨ったのだ。やりたいことを見つけなければと、焦りを募らせて。
伊能忠敬が日本地図作成のために全国行脚の冒険に旅立ったのは55歳だったとか。
そんな大冒険でなくとも楽しみながら続けていけることって、まだ見つかってないなあという話だった。

夕暮れの里山では、くれないの衣をはためかせ天使が空に帰っていく。不意にこみ上げる60オヤジの切なさは、天使に預けて空に返そうと思う。

 

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