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リノベの情景 篠山にて

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夕陽が最後のよろ日を灯して西側の山の端に溶け落ちる頃、山間の里は野も山もくれない色の絵葉書みたいになる。 
丹波篠山のこの辺りならそんな形容がぴたりとはまる。

午後五時。
現場では仕事を終えて帰り支度の大工職人が二人。

お大事に。

白い綿菓子のような息を吐きながら、重そうに右脚を引きずって歩く私に労いをかけてくれた。
私より幾つも年嵩の老職だが、衰え知らずの偉丈夫だ。

私はかえって恐縮するのだ。
というよりも情けない気分になる。
これじゃあかんやろ。
坐骨神経痛のリハビリがんばらなくてば。

夕日に溺れて腰をかがめる。
くれないに照らし上げられた空を眺めて。
この穏やかな光が一番家を綺麗に見せるのだと、それは遠い昔の父の口癖だった。

ほんとリハビリがんばろう。
還暦に甘んじて日和見してるわけにいかないからね。
勇気を奮って、駑馬に鞭打って、頑張ってみよう…無理は禁物だけどね。
 

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