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氷上町、母屋のリノベーション R55の場合

Staff

まもなく引渡しを迎える氷上町の現場がある。
真夏の午後三時。
ひどい油照りの天気にしては、ずいぶん涼し気に落ち着き払って見える。

それはまるで静かに心頭を没するような、穏やかな佇まい。築五十年の威風醸し出す堂々だった。

やれやれ。いい仕事になったと私も胸を撫で下ろす。
旧い建物のリノベーションは、その家の歴史との辻褄合わせみたいなところがあるのだ。
そのさじ加減が難しいところなのだ。

古家の改修だと決して甘んじてはいけない。時を刻んだ風合いにきっちりと向き合わねばならない。
対話の数だけ、敬意の深さだけ、仕事の出来映えに関わってくる。

今回は新しく清潔に仕上がった水回りと、畳敷きから無垢のフローリングに変更して、和モダンに生まれ変わった口の間の取り合わせがいい塩梅になった。

これからの人生の折節につけ、家人の記憶はそこかしこに刻まれていくだろう。
床に壁に窓台に、日々刻々。
これからも毎日繰り返される「おはよう」や「ごちそうさま」のように、ごくありふれた日常だとしてもだけど、そんなささやかな幸せが嬉しいのだ。
 

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