ある青焼きの図面
2024/11/07
- カテゴリ:社長のヒトコト
- 書いた人:由良 俊也(代表取締役)
その日は丹波は車軸を流すような大雨で、年輪の里で予定されていたイベント「アートクラフトフェス」も翌日に延期となっていた。
私は午後から森の舟でリノベーションの打合せが一本。その後、氷上町で現場調査が一本あった。
現場調査に訪れたお宅は、蓋を開ければそもそもコトスのOB宅だった。
それはまさしく35年前に新築されたもので、私はまだ大阪で他の仕事していた頃の話だ。
古い青焼きの図面がおもむろに広げられた時、私の目は釘付けになった。
見覚えのある字体。
そこには明らかに父の筆跡があったのだ。
黒いインクで書かれた文字は、青焼き印刷した後におそらく施主との打合せの過程で加筆された跡だと分かる。
雨雫がガラスを打つ六畳の和室で、私は思いがけず35年前の父と邂逅していた。
努めて平静を心がけるのだが、どうにも込み上げる嬉しさと懐かしさは、私の胸をとよもし続けた。
聞き取りが終わり、施主に暇乞いをする頃は、漆黒の闇に包まれ色を失った夜だった。
雨は上がりいつものやさしい夜が始まった。
「お疲れさま…」と夜空に言う。
車に乗ると私は家路を急いだ。今日あった嬉しい出来事を早く家人に話したいと思った。浄土の父にも届くといいんだけどね。
私は午後から森の舟でリノベーションの打合せが一本。その後、氷上町で現場調査が一本あった。
現場調査に訪れたお宅は、蓋を開ければそもそもコトスのOB宅だった。
それはまさしく35年前に新築されたもので、私はまだ大阪で他の仕事していた頃の話だ。
古い青焼きの図面がおもむろに広げられた時、私の目は釘付けになった。
見覚えのある字体。
そこには明らかに父の筆跡があったのだ。
黒いインクで書かれた文字は、青焼き印刷した後におそらく施主との打合せの過程で加筆された跡だと分かる。
雨雫がガラスを打つ六畳の和室で、私は思いがけず35年前の父と邂逅していた。
努めて平静を心がけるのだが、どうにも込み上げる嬉しさと懐かしさは、私の胸をとよもし続けた。
聞き取りが終わり、施主に暇乞いをする頃は、漆黒の闇に包まれ色を失った夜だった。
雨は上がりいつものやさしい夜が始まった。
「お疲れさま…」と夜空に言う。
車に乗ると私は家路を急いだ。今日あった嬉しい出来事を早く家人に話したいと思った。浄土の父にも届くといいんだけどね。