リノベーションの大事なところ

2026/06/18
- カテゴリ:社長のヒトコト
- 書いた人:由良 俊也(代表取締役)

築五十年。
そう一言でいっても、それは気が遠くなるような長い年月のことなのだ。
今日は築五十年を数える、氷上町の旧住宅のリフォーム現場からお伝えしようと思う。
先ず目を引くのは、新装なった大きなリビングダイニングだ。そこには完全には仕切らないものの、使い勝手が良さげな収納や家事コーナーなどの設えがある。
この年代の家はもともと旅館型間取りといって、中廊下を挟んで両脇に部屋が続く間取りが特徴だ。
それは旅館のように、一部屋一部屋の独立性を確保するには適していても、家族がそれぞれの気配を感じながらゆったりと、あるいは思い思いの場所で寛ぐといった団欒の空間には適さないのだ。
それってどうなのかなと考える。
お互いの気配を読み取りながら、けれどもそれほど気にはならない。…居心地の極意はそんなところにあるのではないかと。
そこで今回は、廊下と間仕切りを取り払った。
これから家人がどのように暮らしていくのか?それはご想像にお任せしたい。
さてもう一つ。
それは残すべきところはしっかり残すということ。
残すべきところ?に答えよう。
それは残すべき値打ちのあるところ。かつて五十年も前に、職人が知見と技術の粋を注いだ部分である。和室や建具の精緻な技巧や古の様式美、そして吟味を重ねた素材などがそうだ。
これらに対して、私たちは敬意をもって接するべきだ。今どれだけ費用をかけてもこの趣は手に入らないことを知らなければならないのだ。
私は思う。
なんでも新しいのがいい、というわけではない。こういう不可侵な部分と、今どきのわくわくする部分が共存する。それこそリノベーションなのだと。
できる限りは、流行りの性能や便利さ、デザインよりも、古き佳き姿への敬慕を持って取り組みたいのである。
人がみなうっかり見落としてしまいそうな旧来の様式美にこそ、本当の値打ちがあるのではないだろうか。
道端の素朴な花木の無造作に美しいところ。古民家のリノベーションも同じだなと、私はそんな気するのだ。








