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KURA-DE-KURASOH

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ー 蔵で暮らすこと ー

ありきたりな過ごし方でいいのだ。
読書や音楽鑑賞、時々は美味しいスイーツやお茶などを愉しむなどもよい。
休日の午後の窓辺に落ちた陽だまりで、ついうっかりと午睡して「あー、また眠ってしまったあ!」と、無駄に時間を浪費するのもまたいいだろう。

ただ、ここが蔵だということ。
蔵で暮らすという非日常感が、平凡な休日の暮らしをしっとりと格別なものに変えてくれそうな気がするのだ。

エビデンス?
ないない、そんなもの(^^)
あるのは「そうなんじゃないか」と信じて疑わない、たくましき幻想だけだ。
いつか見た幻想だけを手掛かりに、この空間は築かれていく。

高い天井に古材の露(あらわ)し梁。
天吊のブラケットライトが琥珀色の柔らかな光を投げかけ、夜の果てから澄みきった、キラキラとあまねく星の音がこぼれてくる。
そんな夜を思い浮かべながら工事の仕上がりを楽しみに待つ。
この想像力が古民家リノベーションの勘所なのかもしれないな、と私は思う。

秋の空では、楓の梢の上を百年の時間が音もなく流れていく。
いつまでも形の変わらぬ風景の、色ばかりが褪せていく日常を置き去りに、私の夢は枯野を駆け巡るのだ。
 

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