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ショールームの帰り路

Staff

神戸での打合せの帰りのちょっと寄り道。

夜のとばりが港を覆い始める頃、海は優しい色が滲み出すような、そんな気がして私は海へと足を運ぶ。
潮の香り、遠いBGM、夕暮れの色。
軽い疲労感を引き連れて私は秋の戸口に立ったのだ。


ところが秋の戸口と書きながら、思い出すのは夏の暑さばかりだった。
九月の半ばになってもこの酷い油照りの毎日には、つくづく閉口してしまう。

人の波と時の流れの中で、やがて跡形もなく消えていく情熱のように、夏がかけらとなっていく。
この日はそのかけらとなる前の、意地っ張りな暑さの神戸だった。

私は思う。
いよいよ秋が恋しくなってきた。

白い歯をこぼして、艶然と微笑みを浮かべる丹波の秋が恋しい。
そして豊かな味覚に溺れては、夜の窓辺でまどろみたいと。
秋虫の声は心を揺らすんですよね。
 

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