ショールームの帰り路
2025/09/18
- カテゴリ:社長のヒトコト
- 書いた人:由良 俊也(代表取締役)
夜のとばりが港を覆い始める頃、海は優しい色が滲み出すような、そんな気がして私は海へと足を運ぶ。
潮の香り、遠いBGM、夕暮れの色。
軽い疲労感を引き連れて私は秋の戸口に立ったのだ。
ところが秋の戸口と書きながら、思い出すのは夏の暑さばかりだった。
九月の半ばになってもこの酷い油照りの毎日には、つくづく閉口してしまう。
人の波と時の流れの中で、やがて跡形もなく消えていく情熱のように、夏がかけらとなっていく。
この日はそのかけらとなる前の、意地っ張りな暑さの神戸だった。
私は思う。
いよいよ秋が恋しくなってきた。
白い歯をこぼして、艶然と微笑みを浮かべる丹波の秋が恋しい。
そして豊かな味覚に溺れては、夜の窓辺でまどろみたいと。
秋虫の声は心を揺らすんですよね。