♪風立ちぬ…。ある秋の休日。

♪風立ちぬ　今は秋
今日は定休日。
 
朝はうっかり溜まってしまった自治会の仕事を片付ける。
午前11時半からはプールで泳ぐ。
ロッカールームで、30年近く前に丹波に移住した古いお客さんに偶然会った。
 
テニス好きが嵩じてテニスコート付きの家に住みたくなって、都市生活と安定した職を捨てて、丹波に移り住んだ人だ。
薪ストーブの最初のオーナーでもある。
 
残念ながらコートは維持管理が大変で、なので今は太陽光発電パネルに姿を変えたが、それはそれで家計の助けになってますと、頬を緩ませて笑った。
 
代わりに今はコレ！と自転車のペダルを漕ぐ真似をして、おどけてみせる。
丹波はいいコースがいっぱいやから！と、また笑った。
 
なんてしなやかな生き方なんだろ？
私は羨ましくなったのだ。
 
たとえ夢や希望が忽然とその形を変えても、甘んじて受け入れている。
そして丹波はそのような変化に寛容なんだ。
 

夕暮れとともに、私はバイクで丹波路を走った。
初秋の山間のトンネルの中は、震えるほどの寒さだった。
道端には何かの枯葉が溜まっていて、小さい秋を見つけた気分になった。
 
♪風立ちぬ　今は秋
さっきからこればっかり口ずさんでいる。
今日から私は心の旅人…。
失恋ソングなのにどこか爽やかなメロディライン。
今に気分にあっている。