傾向

ひとつの傾向として…。
定年退職とか、大きな一つの段落を越えた時、思い切ってご褒美的に自宅を改修しようかという話。
 
そんな事例が、私の周りで小さなブームとなってる気がするのだ。いみじくも私もそういう年かさなのだろう。
 
多可町のこのリフォームのお宅もその一例だ。
 
にわか雨みたいに降って沸いた計画ではなく、狙いすましたピンボールのような計画。
 
でも、フリッパーを上手く操作してターゲットに当てたり、ゲートをくぐらせ高得点できるかは未知数だ。
そこで、その手伝いをしてもらえまいか？
仕事の依頼主は、いかにもそんなゲームを楽しむ風に、私に話しかけるのだ。
たいていは頬緩ませて笑っている。
 
たっぷりと注がれたコーヒーと、型抜きのクッキーなどをいただきながら、私も笑って聴いていたのを思い出した。
 
一年前の同じこの場所で。
新しい窓から差し込む陽射しに目を細めて、不意に懐かしさを感じつつ。