JR福知山線
2025/04/03
- カテゴリ:社長のヒトコト
- 書いた人:由良 俊也(代表取締役)

先の週末に大学時代の同期で飲み会があった。懐かしい顔ぶれに時間を忘れて語り合った。
五人が会するのは久しぶりだった。けれどもひとたび顔を合わせると、懐かしい日々の記憶がとめどなくこみ上げて、息が苦しくなるほどだ。
まだまだ若いなとお互い讃えあっても罪はないけど、話題は還暦らしいものばかりだったのには笑ってしまう。
それもまたいいだろうと私も苦笑する。ここまで紡いできた人生の糸は色とりどり。どの糸も切れないように、今日まで大切に繋いだものなんだ。
場面を大阪駅の巨大ターミナルに戻そう。
ちょうど四十年前の三月の終わりにも、私はこのプラットホームで列車を待っていた。
春休みのアルバイト代をはたいて買った、紺色のブレザーとサンドベージュのチノパンを手に提げていたと思う。
車体は今と違って、いかにも夜汽車という風采のあずき色をしていた。
分けても宝塚より下の路線はさながら銀河鉄道みたいで、客車は閑散としたものだった。
真っ暗な帳の中を車輪の音と、時折汽笛をとよもして列車は走る。
夜霧に浮かぶ駅名の看板に胡乱な視線を投げ掛けながら、私は故郷の気配を求め続けたのだ。
あの夜、漆黒の空から舞い落ちてきたのは何だったか。雪のように桜のように、掴みきれない遠い日の淡い記憶だったような気もするのだが。