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旧友と飲む

Staff

社会人になって最初の三年間を同じ職場で過ごした同期がいる。
社員寮も同じ。出退勤も同じ電車を利用し、居酒屋で飲んで帰るのもまた一緒だった。

先日、三十数年振りに一緒に飲むことになった。
彼は執行役員になっていた。
偶然に彼の昇格人事のニュースを見つけた時は、私は膝を叩いて喜んだ。直ちにLINEで祝福のメッセージを送り、飲みに誘ったのだ。

懐かしさは時のいかだに乗って、記憶の河をたゆたいながら、我々のテーブルに次々と並べられた。

「思っていた未来とは少し違ってしまったけどね」と、彼は現状の忙しさを嘆きつつ、照れるような笑いを浮かべるのだ。

「いや、それは違う」と私は心の中で反駁する。君は大したもんだと、ためらってそれが言えないのは私がへそ曲がりだからに違いない。

「故郷で畑仕事に精を出し、家に帰ってプロ野球を見る」のが、彼の退職後の楽しみだったが、もうしばらくはお預けだそうだ。

私は昨日見た神戸ポートタワーを思い浮かべながら聞いていた。
真夏の西陽を受けたタワーがやけに眩しい。都会の海は、やはり私には眩しすぎるようだ。 
けれども、私には帰る場所がある。思い出を手に携えて、私はひぐらしが鳴く山里に帰る。彼よりも一足早く、人生の間暇を持て余しながら暮らそうと思う。彼には悪いんだけれども(^^)
 

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