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おやじは彷徨す

Staff

18時半の道の駅、杉原紙の里多可。
やれやれ、今日はここで電池切れだ。

ヒグラシの声は遠く切なく、肩を組むように背を並べたメタセコイヤは、川を越えて東の山の方まで影を伸ばしている。

夏の薄暮の空に届きそうなメタセコイヤだった。四方山話に興じているみたいで、どこか可笑しい。
私は昨夜の同期の飲み会に重ねて見上げていた。

円安は?アメリカ大統領選は?
EVや太陽光発電の行く末は?
お互いの健康は?俺たちいつまで働くのか?

旧弊な60前のオヤジは話題に事欠かないのである。

まさか自分たちがこんな歳になろうとはなあと声を揃えて苦笑いした。
誰かに指摘されないと、まだ十歳は若いつもりでいるのだ。
ふとこぼれるため息は酒場の壁時計の針を拒んでいるみたいだった。

ひとりの提案に色めいた。
今年の冬は、泊まりで何か美味いものを食べに行こうぜと。
それは罪のないささやかな約束だった。
夜空には下弦の月。あふれる星々と思い出を指折り数えた。

 

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