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R55のリノベーション

Staff

二十数年前に新築させてもらった施主から再び依頼があった。

新築時に「せっかく親が建てた離れだから」と、解体せずにいた八畳の座敷。
この度はここをリノベーションする。

施主によると、齢六十を間近にしてこれからの人生を考えるに、友人と自家製鍋を囲んだり、趣味の小道具を広げたり、あるいは洋画の旧作を鑑賞したりと、そろそろそんな楽しみ方が色鮮やかに浮かんでくる。
そしてそんなイメージをくるくると巡らせている時間が、日頃の仕事の疲れをほぐしてくれているのだと頬を緩ませていた。

二十数年の歳月。幾多の思い出が透き通ってしまうほどの長い時間だ。
新緑の香り、山鳩の声、夕暮れの風、淡い希望、遠い夢のかけら。

目元涼しげに笑っていた。
これからの二十年はささやかな間暇すら穏やかに、自分らしく生きたいと。
いつまでも変わらぬ風景のように、色褪せない暮らし方を……。
この部屋でともに見つけようと思うのだとか。
 

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