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石垣島の話

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ー 石垣島旅行記 ー

見はるかす海へと続く一本道と、さとうきび畑だった。
今年、夏の始めに読んだ小説「風のマジム」は、沖縄の特産であるさとうきびからラム酒を造る、そんな夢に駆られた女性の奮闘を描いたものだった。

しばし小説世界に浸りながら、この美しい風景を楽しんだ。
ただ、たったひとつ、悲観的に心の蹉跌となった言葉があった。

土産物屋の老主人は言う。

「子どもたちは大人になると、みんなここから出ていくんよ」

夢のかけらを求めて若者は海鳥みたいに島を後にする。
目に染みるほどに青い空にも海にも別れを告げて、やがて誰も彼もいなくなるのだと。

ここは最果ての島。
夜空に雲をくし削りながら浮かぶ月のようだ。
潮風はさとうきびの葉を揺らして嘆いている。果てしない海の波音よりももっと切ない韻律を繰り返して。
 

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