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墓参りの空から

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台風をやり過ごして、空が青さを取り戻した朝の三田から。
まだまだ暑いがそれでも新涼の空気に満ちている。
夏は終わりに向かってその歩みを止めてはいなかったのだ。

今日は姉の墓参に来た。
この時間帯に参りにくる人々は意外に多く、のんびりした盆休みの締めくくりには、それが丁度いい賑やかさだった。

姉に伝えたいことが両手いっぱいにあった。
例えばこの春、二番目の孫が小学1年生になって一輪車に乗れるようになったんだとか。
この六月から長男が自宅を新築中だとか。

姉は今年十三回忌だった。
私はとっくに姉の歳を追い越して八年を数えている。
幾つもの出来事が姉を置き去りにして、無造作に積み上げられてきた。
淋しんぼうで甘えたがりだった姉は、眼鏡の奥で瞳をパチクリとしばたたかせ、笑って聞いてくれてるだろうか。

「お父さん、お母さんに会ってるか?」私は花をたむけて問うてみた。
夏の終わりを知らせるようなヒグラシやツクツクボウシの鳴き声が、朝の墓園に喧しい。

帰りの道すがらに入り口の菩薩像に手を合わせ、私は無事を祈った。

さて、明日からいよいよ後半戦だ。

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