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ふるさとは遠きにありて思うもの

Staff

"丹波はパン屋が多いねと口元を緩ませるのは、およそ40年ぶりに古里柏原町に転住を決めた施主だった。

確かに昔と比べて、丹波は便利になったしオシャレになった(パン屋も飯屋も増えた)  (^^)。
施主と同じ時代を生きてきて、私もそうだと大いに納得するのだ。

ご近所界隈では甘い砂糖とバターの匂いが、朝の香りの定番になっていた。

古き良き時代を面影に残しつつ、古民家レストランとか、茅葺きのピッツェリアとか、進取の気性に富んだ人々の啓蒙的なチャレンジによって、丹波は宝石箱みたいな輝きを持つ田舎に数えられるようになった。

それがふるさとへの想いを、ひとしお濃いものにしたんだろう。

今日で柏原の家は引渡しだった。
お陰様でと頭を下げる。

不意にパンが恋しくなった。
私はパン屋に立ち寄りいくつかのパンとトーストを買った。
なんとなく足取りも軽い。甘い香りが幸せな気分に輪をかけていた。

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