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田舎暮らしのいいところ

Staff

森の舟で打合せの後は、コンビニパスタで昼にした。
 
灌木が冷たい雨に濡れそぼつ風景に、ぼんやりと視線を送りつつ、睡魔の「おいで、おいで」と誘惑するにも負けず、先週末の古民家の下見のことを思い出している。
 
夫はUターン、妻は北関東からのIターンという、若い夫婦の依頼だった。
物件はというと、もう亡くなったが、私もよく知る人の家。
私とはご近所さんの間柄だったのは、全く偶然だった。
 
築年数は優に50年を超えていた。
葺き替えた瓦の年数は比較的浅く、空家になってからの親族のケアも良く、すこぶる良好な状態と言って、言い過ぎではない。
 
とはいえ一生一度の買い物である。
慎重に、暗がりに手をかざすように用心深く、若い施主は実検に余念がない。
何となく重苦しいムード。
 
「北側の納屋は、壊した方が風通しが良くなって、しかも裏山の栗林がここから見ていて気持ちが良い」私は試しにそう言った。
 
マスク越しではあるが、施主夫婦の口が「あっ」と開くのが分かった。
 
「南側のあの木、キウイの棚なんですよね」と指差すと、妻の瞳が一層大きくなって、みるみる光を放ったのだ。
 
春には大粒のキウイ(たぶんゴールデンキウイ)がわんさか実る。ここの住人が手塩に掛けて育てたものだ。
しかもその先の川は、初夏には蛍が飛び交う清流だ。何物にも変え難い、この家の一番いいところは、この環境なのだ(←ああ、これも言えば良かった!)。
 
私は思う。
田舎暮らしはつくづく自然の恩恵だ。
野山や大地の恵みに預かり、そしてそれらを敬い、愛でることなのだ。
そんなことを移住を目指すこの若い施主によって、気付かされたように思う。
その目からこぼれ落ちそうな、眩しいくらいの視線に、どうやら私は、心地よく射抜かれてしまったみたいだ。

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