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月下の森の舟にて

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十五、十六、十七夜になって、ようやく空が群青色になった。
そしてやっと観月の気分が味わえる。
 
ここ、森の舟では…
里に響き渡っていた蝉の声が静まると、代わりに聞こえてくるのは、秋虫たちの優しく涼しい音だった。
 
夜が深まるにつれ、色も音も、だんだん石英の結晶みたいに純度を高めて、透明な夜になった。
 
沁みるなあ、とても。
 
いつかまた、ここへ仲間を集めて、鍋でもやるかなと思う。
一つ一つ楽しみを数えて。
更けゆく秋の夜に。

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