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夏と秋の幕間に

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おらが村には神社がある。
ひどく風化してしまった末社の式台を、改修する工事の依頼があった。

私の地元の村では、八朔(旧暦八月一日)の朝に、
区民が集まって神社と運動場の清掃をするのが、古くからの慣行なのだ。
どうやらそれに間に合った。

本来ならこの頃に獲れる初穂を、恩人に贈る習慣が八朔にはあったという。
田の実節句(たのみのせっく)ともいって、
日ごろの感謝の気持ちを込めて贈り物をしたのだとか。

この八朔を潮に、丹波の山里は秋の扉を開くのだ。
そよそよと朝風が稲の香りを運ぶ。
埃をかぶった古い足踏みオルガンのように、途切れ途切れの風の和音が聞こえ始める。

いつも変わらない。
秋の始まりの飾り気のない挨拶みたいに。
空高くいわし雲が泳ぐのもこの頃なんだ。

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