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一家言あり in 2020

Staff

此度、丹波市氷上町でお世話になることになった現場は、今から三十余年前に、わたしの父が請け負った家の隣に建つ離れだ。
言ってみれば三十年の時を経て、母屋の施主と請負人の息子らが、再びこの土地で家を建てるという話になる。
当の離れの施主は、私の一つ上の先輩で気心も知れた間柄だった。
とはいえ、母屋を取り壊して新築するのか、大規模改修によって施主一家三人が暮らせるようにするのか、答えは簡単に導かれないだろうと予測していた。
一昨年のある冬の日に、現地の下見と面談のために訪れた、父が建てた入母屋二階建ての和風建築の家。
玄関から足を一歩踏み入れた瞬間に、敬慕と 懐かしさに、きつく胸を締め付けられてしまった。
それは同時にこの家の佇まいは、このままあるべきなんだと確信した瞬間でもあった。
かくして、今回の計画は離れが母屋の前に立ち、奥座敷のように母屋につなぐものとなった。
充実した日常は新しい離れで過ごし、離れて暮らす家族親戚、あるいは友を迎える時。
もしくは、映画鑑賞や園芸、趣味の道具の手入れなどに利用する。
いや、ほかにも地元の仲間との飲み会や、ひとり静かに午睡する時などの楽しみもあるのではないかなど。
これからの人生を潤いのある、みずみずしいものする仕掛けとして母屋を使う暮らしの提案が実現するのだ。
私は今回のような仕事はR50指定だな、なんてほくそ笑んでいる、
縁側に横たわる風流が、あるんだと。

 

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